血管は全身に張り巡らされたホースのようなもので、長年使っていると傷んできます。そのため、程度の差こそあれ60 歳を過ぎると多くの人で、血管の石灰化が起きてきます。加齢のほか、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧・喫煙なども動脈硬化を促進させ、大動脈石灰化の原因となります。
石灰化を起こした血管は基本的に元に戻ることはありません。手術やカテーテルでカルシウムを取り除く治療法もありますが、「健診で経過観察しましょう」と判定されている場合はその必要はありません。動脈硬化をいかに進行させないようにするかが大切で、そのための生活改善が必要です。
動脈硬化の進行を抑えるためには日常生活での注意が必要です。食事では塩分・糖質・脂質を摂りすぎないようにし、たばこを吸っている方は禁煙しましょう。
有酸素運動は血管の老化を抑える効果がありますので、ウォーキングなど適度な運動はおすすめです。血糖・脂質・血圧が高めの場合は、生活改善とともに必要に応じて受診し医師に相談しましょう。
また、大動脈に石灰化があれば心臓や頚、下肢などの血管も動脈硬化を起こしている可能性があります。次の健診のときに、動脈硬化をチェックする他の検査(頚動脈超音波検査、血圧脈波検査、運動負荷心電図など)を追加してみてもよいでしょう。