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禁煙、分煙活動の取り組み 鎌倉市

5月1日に健康増進法が施行されたが、この法律のなかでも特に今、注目されているのが第25条の「受動喫煙の防止」(関連記事)。この喫煙問題は、職場でも取り上げられるが、嗜好品という面も強く、なかなか対策が進まない面もあった。しかし鎌倉市役所では職員の健康問題の一環として捉え、いち早く取り組み出し、平成10年には同市独自のガイドラインを作成。この3月には「職員健康白書-3報-」を発行され、「鎌倉市役所における喫煙対策の評価」とサブタイトルが掲げられ、これまでの取り組みと今後の対策が特集されている。今回は、鎌倉市役所を訪れ、これまでの取り組みについてお伺いした。

鎌倉駅から徒歩5分、緑の木々を背景に鎌倉市庁舎は4階建ての本庁舎、3つの2階建ての分庁舎からなっている。現在、同市の人口は約16万8千人で、職員数は約1620人。
鎌倉市役所が組織的に喫煙対策をスタートさせたのは、平成10年5月1日。「鎌倉市喫煙対策ガイドライン」を作成してからだ。しかしここに至るまでには長い経過があったという。同市で喫煙問題が取り上げられたのは昭和62年にさかのぼる。今でこそ「受動喫煙」などという言葉も定着してきたが、当時たばこは嗜好品という考えが強く、なかなか具体的な対策は進まなかったという。それでも平成3年に同市の安全衛生委員会でも取り上げられ、禁煙タイムを設けたり、少しずつ対応をしてきた。

その後、平成7年に「たばこ行動計画」(厚生省)と翌8年に「職場における喫煙対策のためのガイドライン」(労働省)が策定され、喫煙問題に対する社会的な認識の深まりや市民からの声もあり、9年8月に職員課の呼び掛けで、「喫煙対策委員会」が発足された。メンバーは職員課、市民健康課、管財課そして各部総務担当課や産業医など19人。市庁舎ばかりでなく図書館やクリーンセンター(ゴミ焼却施設)など出先施設も含めた喫煙対策が組織的に検討されることとなった。職員が喫煙に対してどのように考えているかなどの事前調査や喫煙場所、分煙方法などの検討を重ね、「鎌倉市喫煙対策ガイドライン」を作成した。

そして職員の理解を得られるように喫煙対策委員会ニュースの発行やメンバーから各部へ周知を行った。同時に市民に対しても広報紙などで協力を呼びかけ、喫煙指定場所を明確に設定して平成10年5月1日、喫煙規制のスタートをきった。  この喫煙規制を実施した1ヵ月後、職員に対してアンケート調査を実施した。それによると「守られている」「かなり守られている」との回答が勤務時間内で98%、時間外で90%という結果が出た。空気環境測定も実施しており、一酸化炭素濃度が半分に、二酸化炭素濃度は26%減少したという。

5年目の節目

imageそれから4年が経過。今年3月、今後の喫煙対策を中心とした「鎌倉市役所職員健康白書-3報-」が出された。

「なかだるみではないですが、職員や市民から喫煙に対して意見や苦情等があり、あらためて調査を実施して現状把握をする必要を感じました。また健康増進法も施行されることもあり、喫煙問題を再検討する時期なのでは…」と今回の報告書に携わった同市職員課健康管理担当者は話す。

そういった意味も含めて今回、実施当時(10年)と比較検討するため同じ項目のアンケートを実施した。

それによると喫煙率は14年度39.1%(男50.6、女14.5)で、喫煙規制前(9年)50.0%(男64.8、女12.2)と比べると大幅に低くなったといえる(図1)。現況についてみてみると、「喫煙の指定場所」については勤務時間内で「かなり守られている」が92.0%、時間外になると「かなり守られている」が76.0%と「守られていない」現状が浮き彫りになってきた(図2)。

また現在の市庁舎では、天井吸引方式と壁掛け式換気扇などが喫煙専用スペースに設置されている。「しかし空気の流れなどによって、たばこの煙が喫煙所以外へ流れ込んでしまう実状も分かってきました。厚生労働省が先日、喫煙対策の新ガイドラインを策定したようにこれまでの空気清浄機による分煙の限界が証明されたようです」という。

今後の喫煙対策

喫煙対策委員会を再開させ、健康増進法25条を踏まえた喫煙対策の検討を重ねて、「施設内全面禁煙、公用車内禁煙」と決定しました。  現在、7月1日から庁舎内全面禁煙の実施に向け準備をしています。

(健康かながわ2003年6月号)
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