
動脈硬化と聞くと、「血管が硬くなること」とイメージするかもしれません。実際には、血管の壁が厚くなったり硬くなったり、血管の内側にプラークができたりするなど、血管にさまざまな変化が起こる状態です。プラークとは、血管の壁にコレステロールなどの脂質がたまり、コブ状に盛り上がったものです。
動脈硬化が進むと、血管が狭くなったり詰まったりすることで、脳梗塞や心筋梗塞などの病気につながることがあります。また、血管の状態によっては、脳出血などにつながることもあります。
こうした病気を防ぐためにも、動脈硬化を予防することが大切です。
動脈硬化は、ある日突然できるものではありません。血圧や血糖、コレステロールなどの状態が長く続くことが、その進行に関係します。これらには、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣だけでなく、年齢や体質など、さまざまな要因が関わっています。
だからこそ、動脈硬化の予防は「生活習慣を正すこと」だけではありません。まずは 自分の状態を知り、自分に合った方法で血管を守っていくことが大切です。
「まず、ここから」5つの習慣
たばこを吸っているなら、禁煙を考えてみる
「今さら禁煙しても……」と思う方もいるかもしれません。でも、禁煙はいつ始めても健康へのメリットがあります。自力で難しい場合は、禁煙外来や禁煙補助薬を利用する方法もあります。
お酒は「量」だけでなく「純アルコール量」を意識する
お酒の種類によってアルコール濃度が違うため、「ビール1本」「日本酒1合」だけでは飲酒量を比べにくいものです。厚生労働省では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として、1日当たり男性40g以上、女性20g以上を示しています。例えば、ビール500ml(5%)には純アルコールが約20g含まれます。
体重は「減らす」より「ためない」ことから
体重が増えてきたとき、「何kgやせなければ」と考えると、負担に感じることもあります。大切なのは、余分な脂肪をためない生活を続けること。食べる量や内容を見直すこと、日常の中で体を動かす時間を増やすことなど、脂肪をためない生活をこころがけることが大切です。無理なく続けられる方法は、一人ひとりの生活や体調によっても異なります。
食事は「何を食べるか」と「どう食べるか」
野菜、魚、大豆製品、海藻、きのこなどを取り入れながら、塩分や脂肪のとり過ぎにも目を向けることが大切です。「○○を食べれば動脈硬化を防げる」というより、毎日の食事全体のバランスを整えることが大切です。
まずは、今より少し体を動かす
運動のために特別な時間をつくらなくても、歩く、階段を使う、座りっぱなしの時間を減らすなど、日常の中には体を動かす機会があります。そうした機会を見つけることからも始められます。
もう一つ大切なのが、「自分の状態を知ること」です
動脈硬化は、症状がないまま進むことがあります。健診では、血圧や血糖、コレステロール、体重、眼底検査など、動脈硬化のリスクを知るためのさまざまな情報を確認できます。健診結果は、自分の状態を知り、日ごろの生活習慣を振り返るきっかけにもなります。
健診結果を見て、少し気になったときが自分自身の生活習慣を振り返り、これからの選択を考えるきっかけかもしれません。
また、健診結果から生活習慣の改善が必要と判断された方には、特定保健指導という選択肢もあります。保健師や管理栄養士などと一緒に健診結果や生活習慣を振り返り、自分に合った方法で健康づくりに取り組むことができます。
がんばっているのに、思うように改善しないときは…
生活習慣を見直すことは大切ですが、それだけですべての人の数値が改善するわけではありません。血圧や血糖、コレステロールなどには、それぞれの体質や生活習慣など、さまざまな要因が関係しています。
生活習慣を改善しても血圧や血糖、コレステロールが下がりにくい場合は、「自分の努力が足りない」と考え込まず、医療機関に相談することも選択肢の一つです。必要に応じて薬なども活用しながら、血管に負担をかけない環境をつくっていくことも大切です。
監修:当協会・保健師 飯塚晶子